小諸市の県動物愛護センター(ハローアニマル)を会場に12日開いた犬猫の譲渡会。主催は動物の福祉活動などを行う日本動物福祉協会長野(東信)支部(徳間壽美子支部長)で、同センターで開く他団体主催の譲渡会は、今回が初めての試みだ。

共・すけっち(子猫)

新しい飼い主を待つ子猫

2百人近くが来場
譲渡会には、写真のみも含め、犬25頭、猫30頭が参加。犬は成犬、一方で猫は子猫の姿が目立つ。
来場者は150人から200人ほど。予想以上の来場者の多さに主催者側は、「関心の高さに驚いた。ペットショップで買うのではなく、保護動物を受け入れたいという意識の高まりを感じる」と喜んだ。
今回は動物の“抱っこ”は禁止。来場者はケージの中の動物を柵越しに確認して、新しい家族候補を探した。

譲渡費用は無料
動物にはそれぞれ番号がついており、来場者は譲渡希望の動物の番号を第1候補から第3候補まで用紙に記入。譲渡はこの日にはされず、希望の状況に応じて、後日連絡の上、引き渡すシステムだ。
譲渡の決まった犬猫は、健康診断と予防接種、不妊化施術の全てを済ませて渡されるが、受け入れ側の費用は無料。ただ、こうした活動を維持するため、会場で寄付を呼び掛けた。
南佐久から訪れた親子は、「犬が欲しくてペットショップにも何度も足を運んだが決めかねていた。譲渡会があるのを友人から聞き、参加した。良い出会いがあればいい」と期待。また、「ブリーダーが飼養放棄したチワワを飼っている」という50代の夫婦は、「保護動物がどういった仕組みで譲渡され、どんな人たちが活動に携わっているのか興味があり足を運んだ。いずれは自分自身も保護活動に加わりたいと考えている」。

“処分屋”が横行
譲渡会を主催した日本動物福祉協会長野(東信)支部の徳間壽美子支部長は、「近年、特に保護犬の数は減っている」とするものの、「劣悪なブリーダーがいるのも事実で、売れ残りや病気などで商品にならない犬を引き取り、処分または劣悪な環境でただ生かしておく“処分屋”と呼ばれる闇の職業も全国的に横行している」との現状を話す。
一方で、「“小さくてかわいい犬がほしい”と希望する一般消費者の意識にも問題がある」と指摘。「ブームが高まれば、ブリーダーは人気のある種の乱繁殖を進める。種の保存という意味でとらえれば、意義ある仕事かもしれない」としつつも、「店頭販売はやめて、ペットが欲しい人は、ブリーダーに事前に予約するなど計画的な繁殖を進めるべき」と提案する。「保護動物を減らすには、民間だけでは対処しきれない。法の整備など行政の力も必要です」。
ちなみに、平成25年度の長野県内の犬とネコの殺処分数は、犬44頭、猫1233頭。処分数は全国で14番目に少ないという。

26日にも譲渡会
今月26日(日)にも、佐久合同庁舎保健所犬舎前で譲渡会を開く。時間は昼12時から2時まで。「特に、高齢者世帯でペットを買いたいと希望する場合は、自身の先の人生も考え、7、8歳の成犬・成猫を迎え入れるのを勧めます」と徳間さん。「成犬もかわいいものですよ」。
問い合わせは電話(0267・63・4191)。