佐久市岩村田の湯川沿いにある洞穴に自生する「ヒカリゴケ」は、洞穴の奥で黄緑色に光る不思議な植物だ。日本で一番初めに見つかったヒカリゴケといわれ、佐久市はこの貴重な植物を観光スポットの一つとしてアピールしている。
明治43年、当時の野沢中学(現野沢北高)の生徒が通学途中に「光る土」を見つけ、東京帝国大(現東大)の鑑定で「ヒカリゴケ」だとわかった。大正10年には国の天然記念物にもなっている。
周囲の環境変化に弱いデリケートな生態のため、洞穴内までは入れないほか、佐久市文化振興課が週1回観察に出向き、湿度変化などの生育状況を調べている。
〈ヒカリゴケ〉ヒカリゴケ科・ヒカリゴケ属に属するコケ植物。コケ自身が光るのではなく、レンズ状の細胞がわずかな光を反射させているという。その細胞には葉緑体が多くあるため、黄緑色に光ってみえる。