かつて佐久地域で盛んだった機織り文化の継承をねらいに活動している「ぼろ織りを伝えていこう岩村田宿の会」(岩崎泰治会長)は、所有している50台ほどの機織り機のうち、手直しが必要な約30台分の修理を進めている。
所有している機織り機の大半が地域からの寄付。「“おばあちゃんの思い出の品”と言って寄付してくれる人もいて、それぞれに思い入れがあるもの。その思いを守るためにも大切に活用したい」と同会の岩崎会長(62)。ただ、機織り機は「使う人の体型に合わせて、地域の職人さんが1台1台手作りしていた。そのため、修理したくても部品の使い回しはできないし、専門技術が必要」という。
修理は、専門技術を持つ柴平忠春さん(84)=望月=に依頼。今年度から県の元気づくり支援金などの補助を得て、整備に着手した。
修理が済んだ機織り機の一部は、来年度から佐久大学へ持ちこむ予定。「認知症予防に機織りを生かすための研究の一環で、まずは学生に織り方を教える。いずれは、学生が高齢者施設で直接おじいちゃん、おばあちゃんを相手に機織りができるようになれば」と夢を描く。
また、同会は品質が悪く出荷できなかった繭を使って着物を仕立てる「家織り(うちおり)」の文化継承のために着物収集なども行っていて「施設で機織りをすることで、“私も昔、家織りをしたことがある”という高齢者に巡り会えたらうれしい」と期待している。