佐久市平賀上宿区で昭和40年代に発足した「上宿ゴルフクラブ」は、区の仲間同士でプレーを楽しんで半世紀。10月末に開いた定例会で通算百回目の節目を迎えた。設立当初のメンバーは既にいないが、「区の先輩が築いてくれた親睦交流のゴルフを、いつまでもつないでいこう」と思いを新たにしている。
地区内にゴルフ場「佐久平カントリークラブ」がオープンしたのが昭和43年。これがクラブ発足の引き金になった。メンバーの一人・田中友和さん(75)は、「当時、ゴルフは富裕層の遊びというイメージだったが、先輩たちに誘われて中流家庭の会員も増えていった」と振り返る。
時代は流れ、ゴルフは庶民のスポーツへ。一方ではバブル崩壊に伴う会員権の暴落など業界は激動。例会を開いていた佐久平カントリーも7年前に閉鎖し、太陽光パネルが立ち並んでいる。そんな中でもこのクラブは地道にコツコツ刻んで継続してきた。
会長の田村敏夫さん(80)は、「スコアや成績に目くじら立てず、それでも大好きなゴルフに向上心を持つ地元の仲間と顔を合わせ、プレー後に公会場でやる一杯が何よりも楽しい」という。ここ最近はコロナ禍の影響もあったが、冬期を除く年3回の定例会がお決まりだ。
事務局を務める花岡宏明さん(68)は、「私もそうだが、定年退職でUターンしたり、移住や婿養子になって仲間になった人もいる。『リタイア後に入会してゴルフをするのが楽しみ』という現役世代もいて、日常生活の中にゴルフクラブが存在している」と話す。
24人いるメンバーは60~80代。現在の定例会場となっている佐久穂町のコースは傾斜が若干きつく「80歳の足には辛い時も」という田村会長。「それもいい運動になるから」と周囲に励まされながら、「2百回、3百回と続くクラブであってほしい」と話している。