小諸市市町の中村峻司さん(75)は8日、毎年1回行う朗読会を小諸市のほんまち町屋館で開いた。聴衆約70人が中村さんの低音で落ち着いた語り口に耳を傾けた。
朗読会は今回で16回目。これまで藤沢周平の『鱗雲』『約束』など中村さんが愛読する作品を取り上げており、今回は『桃の木の下で』を選んだ。朗読会のために作品を原稿用紙に書き写し、何度も読むという準備をしてきた。声の抑揚をあえてつけないで「できるだけ淡々と、聞く人の人生と重なるように読む」のが中村さんの世界。
今回は、友人で小諸市赤坂の田澤久幸さん(58)が、物語の場面転換の時にギターを演奏する初めての試みも行った。朗読が終わると参加者から「とても良かった」「また来年も楽しみにしている」と声が掛けられていた。中村さんは「20回を目標に続けたい」と意欲を燃やしていた。