門下生が祝賀会
日本刻字協会参事の依田行舟さん(79)=小諸市六供=が「第37回日本刻字展」で文部科学大臣賞を受賞した。依田さんは受賞を喜びながら「自分の作品がどうこうというより、文化庁が刻字の団体に価値を認めてくれていることがうれしい」と話す。
依田さんは小諸市本町出身。上田高から信大へ進み、高校教員を勤めた。野沢北高などにも勤め、母校の上田高を最後に退職。書道を始めたのは書道教員になった社会人以降。毎日書道展の審査員を務めた清水無尽さんに師事した。清水さんが篆刻や刻字にも取り組んでいたことで、やがて依田さんも刻字を始めるようになった。
受賞作品は「来鼓(らいこ)」。敵が攻めてきた時に巫女が太鼓を叩いて呪いをかける―といった意味があり、北朝鮮のミサイル発射などの情勢に対する危機感の啓もうの気持ちを込めた。ただ、作品自体は赤、白、黒と色をふんだんに使っていて、審査員も「三色のアート感覚も生きている」と評している。
2月25日には、刻字教室「一葦書会」の門下生約60人が集まって文科大臣賞受賞を祝う会を開いた。当日は兄の順平さんと弟の俊吾さんも駆けつけた。依田さんは「みんなの気持ちがとてもうれしい」と喜び、「これからまたしっかり指導にあたっていくことが恩返しになるかな」と笑った。