佐久市浅科地区の矢嶋で豆腐を凍らせて作る保存食「凍み豆腐」の生産が始まった。
矢嶋の凍み豆腐は、400年以上の歴史がある伝統食で、「気温マイナス5度以下」「無風」「晴天」と条件が整った時にだけ作ることができる。令和4年に文化庁の食文化の継承・振興を目的とした「100年フード」に指定された。毎年3月9日の「佐久の日」には市内の小学校の学校給食にも提供されている。
生産の最盛期は昭和30年頃。60軒の農家が冬の収入源として作っていたが、現在は「矢嶋地域再生施設」を拠点に大豆の栽培から豆腐やみそなど大豆の加工食品を作り販売している農事組合法人「矢島いきいき会」(小泉淳組合長・10人)のメンバーともう一軒が残るのみとなった。
いきいき会では18日に今シーズン2回目の凍み豆腐作りをした。夜8時頃に約150枚の豆腐を並べたをケース32個を外に出した。翌日の午前6時に回収して袋詰め作業を行った。凍み豆腐が溶けないよう暖房などは一切使わず、日が出る前に作業を終える必要があるため、まだ朝暗い内から作業をする。
本格的な生産は1月中旬だが、年々、気象条件が整わなくなっているといい、小泉組合長は「今年も約2㌧を目標に生産していく。お雑煮や煮物にしてもおいしいが、天ぷらもお勧めなので試してみて」と話す。
いきいき会の凍み豆腐は、ナナーズ安原店と東御店、望月のしらかば直売所、Aコープ、道の駅ほっとぱーく浅科などで販売している。矢嶋地域再生施設で個人へ向けた販売は行っていない。

