江戸時代中期の寛保2年(1742)に千曲川流域で発生した大洪水「戌の満水」の新しい絵図が、小諸市与良の小山隆司さん宅から見つかった。
戌の満水で被害を受けた流域の中でも、小諸藩は約5百人と最大の人的被害が出たといわれている。
発見されたのは和紙に「小諸大洪水変地絵図」と書かれたもので縦約1㍍、横約2㍍。表には被害にあった地域が絵で描かれており、裏面には復旧の様子が文章で書き記してある。小諸市立郷土博物館の斎藤洋一館長は「今回発見された裏面には国から来た役人とのやり取りや名前が書かれている。保存状態が良くとても貴重」と話す。
発見された絵図の詳細は、県図書館等協働機構がインターネット上で公開している「信州地域史料アーカイブ」の中で原文や現代訳、解説と一緒に掲載されており、自由に見ることができる。
小諸市図書館は先月、戌の満水の資料保存と後世への伝承を目的に現在発見さている絵図を布に印刷した。費用は約16万円で10日に完成。掛川裕介事務主任=久保=は「自分の住んでいる地域の昔の様子や、大きな災害があったことを知る機会になる。防災意識の向上につながるのでは」と話していた。印刷した布は図書館に飾るほか、7月に郷土を題材にして開く講演会で紹介する予定。