春めいた陽気が増してきた佐久地方。暖冬だったが、サクラの開花は記録的な早さだった昨年に比べると若干遅く、「平年より若干早め」になると見られている。既に、「佐久地方で最も早い」とされる小諸市のマルイ産業=和田=のロトウザクラが咲き始め、来週末には各地で開花の便りが重なりそうだ。
眼下に「世界かんがい遺産」
関所破りの桜(佐久市浅科)
浅科地区の五郎兵衛新田を開発した市川五郎兵衛にまつわる資料を保管する「五郎兵衛記念館」の敷地にある樹齢3百年とも言われるシダレザクラ。サクラが見下ろす五郎兵衛新田を潤す「五郎兵衛用水」は、昨年に世界かんがい施設遺産に登録されている。
「関所破り」の名は、五郎兵衛を祀った神社に植えるサクラを受け取りに行った際、碓氷峠の関所で通行札を忘れたが、事情を話したところ通行を許可されたことに由来。
保存会で花愛でる茶会
龍岡城五稜郭(佐久市田口)
日本に2つしかない江戸時代末期の城郭「五稜郭」の星型の堀の周囲に約180本のサクラが植えられている。五稜郭は、敷地内にある田口小が臼田新小学校の建設に伴い閉校する予定で、新年度から将来に向けた保存整備のあり方が検討される。
五稜郭保存会(鷲見和人会長)による茶会が行われるのも恒例。4月20日(土)の開催を予定しているが、実際の開花状況によって変更する可能性もある。問い合わせは五稜郭であいの館(電話0267・82・0230)。
2本の木に赤と白の花
咲き分けの桜(佐久市根岸)
佐久市根岸の五本木集落にある2本のエドヒガンザクラ。樹齢は推定で2百年、高さは19㍍あり見ごたえは十分。通りから少し奥に入った場所にあるため、「知る人ぞ知る」という存在だ。
2本のうち1本に赤い花、もう1本に白い花を咲かせることから、「咲き分けの桜」と呼ばれるようになった。ただ、古文書などの資料はないため詳しい歴史的な由来ははっきりしていない。
樹齢百年超・古木の並木道
長野牧場(佐久市新子田)
明治39年(一九〇六年)に開設された家畜改良センター茨城牧場長野支場(通称・長野牧場)に広がる直線約250mのサクラ並木。樹齢百年を超えるソメイヨシノの古木約50本が、バックにそびえる浅間山と緑豊かな広大な敷地に映える。
市街地の近くにありながら、牧場のヤギとふれあうこともできる。近所の幼稚園児や家族連れの憩いの場所にもなっているが、一部のマナーの悪さから2年前からは敷地内でのバーベキューと飲酒が禁止。昨年からは「静かに花見を楽しんでほしい」との理由からライトアップも行わなくなった。例年の見頃は4月中旬から。