水墨画「墨心透映流」の創立者で小諸市和田の名立帰山さん(85)は、昭和57年に小諸市に移住して以降、40年近くにわたって水墨画一筋に活動してきたが、目の病を患い2年前に引退。自宅などで保管している作品のうち、大型のものを「多くの人に目にしてもらえたら」と、これまで関わってきた公共施設や企業へ寄贈しようと取り組み始めた。
名立さんは新潟県名立町(現上越市)出身。小諸市に居を構えたのは、当時小諸市に親戚が住んでいたのが縁だった。「ちょうど東京と新潟の中間地点で、移動にあたり大変都合の良い場所だった」と振り返る。移住してすぐに「墨心会」を設立。これまで8百人を超える弟子を育ててきた。
目の病で水墨画家としては引退したが、自宅や隣に住むいとこの飯塚清さん宅の一室などで保管している大小様々な作品をどうするかが課題としてあがってきた。最近では、帰山さんの娘で舞台俳優の吉祥美玲恵さん(55)の活動を縁に、佐久市の事業所に絵を寄贈するなどしており、今後も大型の作品を中心に引き取り手を探る。
一方、展示用の裏打ちなどをしていない小型の作品も多く、吉祥さんは「例えばチャリティー販売会などを開き、収益は作品を保管してくれているところへ寄付することも考えている」という。それ以外に、希望があれば個別の販売にも応じたい考え。問い合わせは吉祥さん(電話080・6563・7102)。