江戸時代後期、赤岩村(現在の佐久市赤岩区)で、村人の心の拠り所だった石尊大権現。明治時代の「神仏分離令」で公の場から姿を消していた御神体が、約130年ぶりに同区公会場裏の市杵島神社の社殿に戻された。長い旅を経てようやく“里帰り”した御神体は、ほっとした表情で真新しい神殿で鎮座している。
御神体は木製で、高さ50㎝ほど。神仏分離令で偶像崇拝から掛け軸文字の拝礼に改められたことに起因し、御神体は村人の判断で「秘められた神様」として、氏子の家を転々としながらも大切に守られてきた。その後は同区の洞昌寺に預け、本堂の片隅で保管されていたという。
「御神体はどこに祀られているのか」と疑問に感じていた氏子総代長の森泉静真さんが、郷土史に詳しい柳澤康旦さん=小諸市御影=に歴史的な経過を聞き、本来あるべき場所に安置しようと働きかけた。
19日には、同区の池田厚佐生区長をはじめ氏子15人で魂入れの式を行った。森泉さんは「御神体もさぞ喜んでいると思う。多くの区民に参拝してほしい」と話している。