佐久市の岩村田本町区の神明神社が、これまであった金沢病院駐車場近くから、建立当時と同じ場所とされる同区の中央公園近くへ56年ぶりに戻った。ご神体も含めた社ごとの“引っ越し”で、11日、同神社の総代や岩村田本町区の半田かつ江区長らが参加して正遷宮祭を行った。
神明神社は、岩村田の祇園祭など長く受け継がれてきた地域の大切な行事にかかわりのある神社として、子どもみこしの本部の役割を担ったり、地域住民に大切にされてきた。建立は江戸時代の正徳3(一七一三)年。当時の古地図に、現在の中央公園近くに存在したという文献が残るが、昭和41年頃、岩村田商店街の再編や防災道路整備の計画により、金沢病院駐車場近くに移っていた。
今回の遷宮は、現在地を含む敷地に金沢病院が移転するのに伴い計画。神社のご神体を移すことを「遷宮」というが、今回は元々あった場所に戻す形になることから、「正遷宮」と呼ぶ。移転に伴い参道などを再整備。同区や区民、多くの事業所から集まった寄付金約140万円でまかなった。
11日に開いた正遷宮祭では、毎年8月に行っているが移転のため今年はまだ行っていなかった例大祭も合わせて実施。神社総代の水澤健治さんは、「かつてあった場所に戻ったことで、当時を懐かしんで参拝する人もいる」と話し、「これからも地域の氏神様として、本町区を見守ってもらいたい」。