佐久市住吉町区(井出忠平区長)に江戸時代から伝わるお囃子屋台。かつては祇園祭などで曳行していたが、30年程前から日の目を見なくなっていた。この部品が住吉神社内で見つかり30日、区役員など約20人が参加して屋台を組み立てた。
平成14年に組み立てた記録があるが、少なくともこの20年間は区民のほとんどが見たことがなく、「区民に地区の歴史を知ってもらおう」と、さっそく神社境内に展示した。
住吉町区をはじめ、荒宿、稲荷町、本町、相生町がそれぞれお囃子屋台を所有しており、祇園祭などの行事がある時に曳行していたというが、30年ほど前から出されなくなったという。住吉町区の屋台は5区の中で最も立派な作りと言われ、高さは3㍍を超えるほどあり、屋根部分には丁寧に彫られた竜の彫刻が施されている。
今回、屋台の部品と共に地区の古文書も発見。この古文書によると、屋台の制作年は文久元(一八六一)年頃と見られる。また、明治4年11月、明治天皇の誕生日に屋台で練り歩くことを求めて岩村田警察へ届け出たことを記した文書もあった。
屋台の組み立ては、20年前に組み立てた際に撮影した1枚の記念写真と、当時組み立てに参加した前区長で大工でもある清水清さんの記憶を頼りに作業を進めた。20年前の時、部品が組み合わさる所に番号を付けて残していたのも幸いして序盤は順調に進んだが、屋根部分の竜の彫刻は大人3人で持たないといけないほど重く、苦心した。
井出区長は、「岩村田の祇園祭が3年連続で中止となるなど、伝統が途絶えてしまう恐れもある」と懸念し、今回の屋台組み立てを通して、「後世の人にこの伝統を引き継いでもらえればありがたい」と期待を込めている。

区役員が協力して組み立てを進めた

完成した屋台の高さは3mほどにもなる